見た目と中身が反比例

俳優さんが好きで舞台を見に行くオタク未満の日記。盲目的で肯定的。

SMOKE 九劇ver. 大千穐楽

 

2019年8月18日


日野超×大山海×池田紅

 

これは素晴らしかったです。
日本版オリジナルキャストかつ初演と同じ配役は安心感がありました。

初日は所々で少しズレる瞬間があったりして、大丈夫かな…と思いましたが、千穐楽はさすがさすがの安定感です。

お互いのアドリブを包み込むような、それに応じていく様はとても心地よいセッションでした。


制作側の緊張感はもちろん、お客さんもぎゅうぎゅうに入っていてそれがまた濃い緊張感となってたような気がします。

ラストということもあって、キャストさんの熱もよりいっそうでした。

とくにゆっこさんの紅は私が見てきた中で1番素晴らしかったです。

華奢な体の全身を使って海を止める姿はとても胸が痛みました。

セリフの1つ1つに生っぽさがあって、このまま役と一緒に死んじゃうんじゃないかとさえ思いました。ゆっこさん生きててくれてよかったぁ〜。

日野超もゆっこ紅に負けない熱量での殴り合いはハラハラしました。

ゆっこさん好きぃ〜〜〜しか言葉が出ないんですけど、記録のために頑張って文章化します。

再々演したときの私のために。

初演の感想はこちら→

ミュージカル SMOKE - 見た目と中身が反比例

 

 

 


大山海のかわいさは健在ですね。

くまちゃんみは薄れてたんですけど、かわいかった……。

 

海「僕は……いい人です」

 


紅「しばられた腕がひどく痺れるんですぅ〜!」

海「ええええええ?!!」

 

コミカルなシーンの安定感すら素晴らしい。

99%シリアスの本編の中でクスッとくるこのシーン、たぶんすごく難しいと思うんです。

でも大山海の間の取り方とゆっこ紅の言い方はいつ見ても丁度良いんです。ほんと大好き。

 

紅「その素敵な友だちと一緒に私を誘拐したのね?」

海「ええ…………(ハッとした顔)……ごめんなさい」


丁度ええ。丁度良いです。


真志さんとゆっこさんは超と紅としてもとても力強くて見応えがあって大好きなんですが、海と紅としての安心感も好きです。

そうそう、大山海の回を見るまで気づかなかったんですけど

「ね、踊らない?」から始まるスーパーくまちゃんタイムがカットされてる!!!!?

かわいかったのになぁ……。

これじゃただのカッコいい真志さんだよ……ずっりぃ〜な〜

ピアノとハモりが美しすぎて、このシーンがいつまでも続いてくれればいいのにと思いますね。

『いつまでも美しいあなたは僕の愛しい人』

のとこかっこよさがもう……言葉にならない。

 

 

 

日野さん超は安心感がありますね。

あんまり怖くないっていうと語弊がありますが、海への優しさを感じるから安心して見てられるんですよね。

ゆっこさんの圧にぎりぎり追いついてる感があったように思えた日野超でしたが、日を重ねるにつれて上回るくらいの感情の殴り合いになってました。

紅「やめてよもう!いい加減うんざり!」

の台詞はとくに個性が出るというか、人によってその日によって全然違うので密かな楽しみでした。

 

とっても楽しみな深夜の夫婦喧嘩シーンですが、今回でもう終わってしまうんだなぁという思いでちょっと泣きそうになりました。

だってもうキャストさんが壊れてもかまわないくらいの力で演ってるから…終わってしまうんだなぁって…。

やりきりたいって思いがすごく伝わりました……。

 

あと海が目を覚ますときのピアノの音すごく好き。

 

 

 

「じゃあ私を撃って!!」

心臓をぎゅうっと掴まれたように悲痛な叫びでした。

『そうよ わたしは 死ぬこともない ただの苦しみ 消せない傷あと』

の虚ろで悲しげな歌声が涙腺にクる。

超が紅を撃つ瞬間の海の絶望顔がまたいい顔なんです。

 

『出口の見えないこの世界から 煙のように抜け出そうか』

のとこ、椅子、机、って上がるとこ、めちゃめちゃかっこいいんですよね。音も振りも曲も歌詞も。めちゃめちゃかっこいい。

海パート『この世界から』のキーが真志さんはギリギリなんでしょうね、苦しそうでこっちまでくるしくなりました。

言い忘れてたんですけど、真志さん今まで以上にすっごくお歌上手になってて、あの、これ以上の上がまだあったのか、と。シンプルに尊敬してます。

 

海「私は恐れに震えている

私はどこからもう一度やり直せばいいのだろう

私はどうすれば自分らしく生きられるのだろう

私は……私は……私は…!!」

初演だとペン先を喉に突き刺そうとしてませんでしたっけ。銃じゃなかった気がする……。

紅が必死に海を止めようとしてくれて、とても胸が痛い。でも海が絶望してるのもわかるからどちらが悪いとも言えないから苦しいです。

 

 

『青い終わり 赤いはじまり 赤いはじまり 青い終わり』

このナンバー、こんなに感情的なのにちゃんと歌えるのすごいなって思いますね。この歌も好きです。

 

海「自分の人生の最後の日くらいは自分で決めるんだ!」

ここであの三拍子の歌が流れてくるのかっこよすぎます。アレンジかっこよすぎる。

海「僕がこんなにも苦しんでるのに、おまえだけが穏やかなんて…!

もうおまえがやってくれ!!」

 

鏡の中の自分(超)が逃げようにも逃げられず、現実世界の自分(海)に捕まって引きずり出されるとこ!!すごくゾクゾクしました!!!

海「あとはもうおまえがやってくれ、超!」

は大山海の言い方だけ他の二人とは大きく違うのが印象的でした。はー、かっこいい。

 

『お願いよ 行かないで 捨てないで 私は消せない 永遠に』

から

『私は消せない 消えたりはしない どんなに冷たくても流れ続ける』

の、音の転換ほんと素晴らしい。大好き。

 

超「最期のチケット、それはおまえだったんだよ。……死ね」

『これで終わりだ さあ落ちよう』

海の全てを終わらせようという思いが伝わってしまいました。泣く。これは泣く。

海「超、ごめんね」


今までで1番優しいごめんねを聞けました。

あれはありがとうの気持ちも混じってたようにも思えます。

"ずっと支えてくれて、そばにいてくれて、ありがとう。閉じ込めててごめんね。"というかんじのごめんねに聞こえました。

鏡を撃ち抜いて超を解放(消滅?)して一歩踏み出す決意をした海。

 

 

海「肺病病みの思想は危険ではないらしい」

釈放されて自宅へ戻った(?)李箱は声を押し殺して悔し涙を流す。

(他の回では机を叩いて悔しさや怒りを表してたと思うので、これはもしかしたら大山海の感情のままに出たアドリブなのではないかな?と思いますが、どうなのでしょう)

李箱はこのシーン1937年3月16日、釈放されたわずか1ヶ月後に亡くなったそうです。

 

 

『僕は僕の夢に辿り着けるだろうか』

絶望 というタイトルに相応しい悲壮感のある曲。

今まで聴いてきた中で1番良かったです。本当に。

 

海「その海はどんな色をして私を待っているのだろうか」

超「青だろうか、それとも漆黒の闇だろうか」

海「暗闇 暗闇ならもう一度光を放とう」

 

海「書いて また書いて 最後の日まで書き続ける

それ以外にできることはないのだから」

 

紅「そう 私を抱きしめて 光が放てるまで書きなさい

それ以外にできることはないのだから」

 

超「行くと決めたら最後まで行くんだ

それ以外にできることはないのだから」

 

海と超と紅の会話がじわじわ泣けてくるんです。一歩踏み出した海と、それを見守る超と紅。

 

『きみは時折、きみが1番嫌いな食べ物を貪り食う』

『アイロニイを実践してみるのもいいかもしれない』

ここからの爽快感がほんっとに、涙腺がズタズタになりました。

それぞれがとってもいい顔をされてるので、そんな作品を見届けられて嬉しい反面、終わってしまう寂しさでボロ泣きしてました。

あー…無事に終わったなぁ。

 

 

 

トリプルコールくらいまであったかな?

キャストの皆さまからご挨拶がありまして

ゆっこさんは「(情勢が)どんな状況でも再々演ます!

と力強い宣言をしてくださいました。

世界情勢を思いつつ、歴史までしっかり学んでこの作品に挑んでいらっしゃったゆっこさん。

「そんな世界に投げかけられる1つの大きな小石…大きな小石?なんだそれ?」

最後にクスっと笑えるご挨拶でした。

 


日野さんが途中で言葉を詰まらせてしまうと、客席から温かい拍手が。優しい世界。

「大袈裟かもしれないけど、皆さまの翼の一部になれたらいいな」

「記憶はどんどん薄れていくんですけど、この作品は、この公演だけはぜひ皆さんの心にずっと残るように、僕たちと一緒に愛し続けていただければと思います」

 

 

真志さんはお二方がお話ししているときからもう放心状態というか、やりきった、燃え尽きたという表情をしてました。その顔が見られたことが何より嬉しかったです。

「燃え尽きました」

「伝えたいことは舞台上で全部皆さんに伝えられたと思います」

こんなに全てを賭けて挑んだ作品を見られたのは、本当に本当に幸せだと思いました。

 

 

全公演やりきったあとで皆さま頭がフワフワしていたようです。それでも一生懸命に言葉を紡いでお話ししてくださって、ありがとうございました。

 

音楽監督、演奏 の 河谷萌奈美さん。

なにか一言、と言われて「ありがとうございました」と少し恥ずかしそう?にする姿がかわいかったです。

ありがとうございました、Ms.SMOKE。

 

木内さん、高垣さん、元榮さんが上のスペースにいらっしゃってたみたいで、こちらに手を振ってくださってました。

ありがとうございました!

 

 

何コールまでやったんだろう、喋ることがなくなったんでしょうね

大山「えー…もう一度!先ほど千穐楽を迎えたメンバーに拍手を!」

大山「そしてここにはいないんですけど……」

池田「あ!こぐちゃ〜ん……」

大山「届くように拍手を!」

ありがとうございましたー!!!!!

千穐楽を迎えた頃、木暮超は海にいたそうです。

 

 

 

 

こんなに愛されてる作品を愛せたことを幸せに思います。

こんなにこんなに思いのこもった公演を見届けられて、本当に幸せでした。

 

 

 

 

 


再々演もまたこのキャストでお会いしたいですね。

 

 

再々演、お待ちしております!!!!