見た目と中身が反比例

俳優さんが好きで舞台を見に行くオタク未満の日記。盲目的で肯定的。

Coloring Musical『Indigo Tomato』

若手俳優について



IndigoTomato の感想です


事前の情報があまりなかったのもあって、いまいちピンときてなくて迷ってたんですけど
もっと行けばよかった…
いつまで経ってもチケットの見極めって難しい。


以下、感想、ネタバレ、個人的解釈です。




あれ?5人だけ?

がカテコで思ったことです。
眼鏡をかけたら別人を演じてるっていう演出で、役者さんたちが何人も演じてたおかげで、もっと出演者がいたように感じました。




タカシの変化と周りの変化

平間壮一さん演じるタカシはサヴァン症候群の青年。
数字に優れていて、それをキッカケにタカシのことを認めてくれる人が増えていくというお話でした。


平間さんは初めましてだったんですが、歌声がすごく絶妙で好きな声だなと思いました。


興味を引かれるとそこ一点に集中してしまう様子とかパニックを起こして暴れてしまう様子とか、見ていてハラハラさせられます。
あまり表情が変わらないタカシが、好子さんの赤ちゃんをだっこして少し笑ってたのが印象深かったです。


自分を"異星人"と言っていたタカシが、最後には自分が自分のままでいいんだと思えたことが嬉しかったですし、そういう世界であってほしいなと思いました。


平間さん、笑顔とダンスが魅力的な方だそうなので、今度はたくさん見られる作品に行きたいです。


大好きなお兄ちゃんと自分の夢のこと

タカシの弟、溝口琢矢さんが演じたマモルはどこにでもいそうな青年で、だけどお兄ちゃんを支えなきゃいけないっていう大きくて重いものを背負ってる人で、すごく難しい役だなと思いました。


タカシのせいで母親に捨てられたと言いながらも支えようとする健気な姿にマモルの純粋さを感じました。
いろんなことに堪えて諦めてを繰り返してきたマモルが爆発してしまうシーンはしんどかったです。
唯一諦めきれなかった学校の先生になる夢が叶いますように。


彼の苦労は計り知れないけれど、タカシが少しずつ世間に認められるようになって、マモルも幸せであってほしいです。


ショーマンの異星人だった過去

大山真志さんのユーゴはアメリカと日本のハーフ。野心家というから豪快な役か、ギラギラした底意地の悪い人かと思ってたら、きちんと正しさを持っている役で安心しました。
彼は自分自身で居場所を勝ち取って輝いてるけれど、ハーフだからという理由でどこにも受け入れてもらえなかった"異星人"という過去をもっていた奥が深い人でした。


番組内でタカシとマモルを紹介するとき、わざとオーバーな言い方をして「可哀想だろ?」みたいな態度をとるのがモヤッとしました。でもそれって過去の自分をタカシに重ねてしまっているせいで、彼の弱さの裏返しなんですよね、たぶん。


タカシの才能を知って番組オファーをしたのは、視聴率のためがほとんどだろうけど、タカシが自分自身で居場所を作ること、認めてもらえるようになること、そのチャンスを与えたいと少しでも思ってたらいいな。
ユーゴもまたタカシに会いにあの公園に来てほしいなと思いました。


メガネをかけたらアンサンブルとして演じるという演出で真志さんのやったモブ、競馬のおじさんとシャドーボクシングしながら走るボクサーと会社員と… チョイスが絶妙。
競馬のおじさん、あれ絶対トータルで大損してる。
会社員のお兄さんが円周率を暗記するタカシに「応援してるから」って声をかけてくれるんだけど、そこの着ボイスほしい。


ダンスもかわいい振りからキレのあるかっこいい振りもあって、とっても楽しかったです。かっこよかった……。
真志さんの眉を上げる仕草が好きなので、今回はたくさん見れてよかったです。
時計の針をチョークで書き込むシーンがあったんですけど、めっちゃ強く書くね?そのときのピッてした動きかわいかった……。


バリアのない良きお姉さん

安藤さんの演じたあやさん、女性だけど女性っぽくなくて、見ていてすごく気持ちが良かったです。
タカシにも何に対しても偏見がない素敵な人でした。
安藤さんの中から生まれたみたいに自然だなと思って見てたんですが、あて書きだったそうでとても納得しました。


あやさんの明るさに、タカシとマモル以外にも客席も救われたと思います。
イキイキとしていてパワフルで、元気をもらえる存在だなって思いました。


タカシとあやさんが一緒にいるシーン、すごく優しくて柔らかくて、夕日の淡いオレンジみたいな空気を感じました。
昔々あるところに毒リンゴ、大好きです。
あんなお母さん素敵すぎます。
番組AD役のときイキイキしすぎですよね笑


様々な影響を与えた5人(+@)

Wキャストの彩吹真央さんの演技の幅がほんとに大きくて、芸達者ってこういう人のことを言うんだなって思いました。
脳科学者、観覧席のお客さん、お母さん、ローズさん、好子さん、5役の台詞有りの役と、メガネ。


ローズさん出オチ感!と思って油断してたら、まさかの性同一性障害で。
愛で心は縛れない
って台詞がすごく心に残りました。


《家族》を《儚い約束》っていう表現にぐっときました。言い得て妙です。

愛していても心が拒んでしまうことは、悲しいけれど起こりうることで、それを責めることは誰にもできないんですよね。

まるで心だけが別の生き物みたいに、自分自身ではコントロールできないってすごくストンと胸に落ち着きました。


ローズさんのシーンはすごく大切なことを言ってくれてて
励ますとは違うかもしれないけどあのシーンを見て勇気づけられた人はいるんじゃないでしょうか。


葉子さん(タカシとマモルのお母さん)、憔悴しきった顔で不安定な音の歌を歌ってて、苦しくなりました。
カッコウって別の巣に卵を押し付ける、子育てをしない鳥なんですよね。
でもカッコウはわからないけど葉子さんに愛がなかったかと言われるとそんなことはなかったです。
なんならカッコウだって自分で育てられるなら育てると思うんですよ。変温動物で育てられる保証がないから托卵という手段を選んでるだけで……。知らんけど。

手放してしまったけれど、葉子さんがちゃんと2人のことを愛してくれてたことが作中でわかってよかったです。


中学生の頃に高野先生みたいな先生に出会いたかったし
小学生の頃に好子さんみたいな友達のお母さんに出会いたかった。





ユーゴを初めて公園で見たとき、マモルが
「生で見るとほんとに外国人みたいだ」
(ちょっとうろ覚えなんですけど)
って言うんです。
このときのマモルに悪気はないんですよね、思ったことを言っただけで。
こういうのがタカシやユーゴの居場所を奪って、彼らを異星人にしまったんだろうなと。
これが悪だというわけじゃなくて、人間ってそういうもんだよねっていうのがなんともいえない寂しさを感じました。


この作品、悪い人は1人もいないけど、悪気のない人は何人かいるんですよ。
テレビの観覧者とかタカシが円周率を暗記してるときに現れたお金持ちのおばさんとか。
モヤッとするけど、ああいう人この世界にもいるし私自信も悪気ないままだれかに、自分とは違うからって線引きしてしまってると思うんです。

サヴァン症候群のタカシ、ハーフのユーゴ、シングルマザーのあやさん
育児放棄してしまった葉子さん、性同一性障害のローズさんも
欠陥というのとは違うけど、誰しも人と違うところは1つ2つ持ってて当たり前なんですよね。

そういうのも含めて、普通ってなんだろうなって思わされました。





私が見たのは彩吹真央さんの回でしたが、剣幸さんの回も見たかった…
パンフの剣さんのインタビューに「トトロが難しいんです!」って書いてあって、ンかわいい…!!!ってなりました。
見たかったなぁ……。





舞台装置が黒板みたいになってて、そこに数字だったり図形だったり絵を書き込んでいくんですけど
チョークの持ち方も、筆圧もキャストごとに違くて、見ていて楽しかったです。
最後にみんながそれぞれトマトを描く(真志さんが異様に上手かった)とき、描き方が全然違うからなんか当たり前なのに感動というか、すごい!!おもしろい!と思いました。
勢いよく色を塗る人、きっちり線で色を塗る人、並べて見ると全然違ってました。


楽しそうにトマトを描いてみんなの真ん中で笑ってるタカシの姿に、最後の最後で1番泣きました。





タカシが1人1人にハグをするんですけど
まずマモルにぎゅってして、次にあやさんとぎゅーってして、ユーゴに近づくけど「やっぱいい」みたいな動きで拒否するんですよ。
そのときのユーゴの表情が最高にかわいい。。。
その次に高野さんとハグして、もう1回ユーゴに近づいて遠慮がちにぴとってハグするんです。かわいかった……。声も背丈も大きいし単純に怖いよね。苦手なのかな。





クラーキーさんの音楽もすごく優しくてキラキラしてて、ときに重くドロドロして、お話を彩ってました。
『それでも私はバラを愛した』が好きだなぁ。『2人組』も好きです。
劇中歌含めたサントラを
売ってください!!!





Coloring Musicalに相応しい、たくさんの色が詰まった素敵な作品です。
心が優しくなれて、見える世界の色合いが少し明るくなりました。
もっと見たかったなぁ……。








以下、余談です。
博品館で見る作品はどれもハズレがないですね。
推しがいたときも博品館のは良作だった。
でも好きな劇場は銀河劇場とパブリックシアターです。

帰ってからトマトジュース飲みました。トマトジュース苦手なんだけど、なんか今なら飲めそうな気がして。……あんまりだった。

【Indigo Tomato(3)】稽古場レポート前編 - げきぴあ
この記事の写真すごく好き。


歌い上げる姿が逞しくて、笑顔が優しくて、仕草1つ1つが美しくて、好きだなぁって思った。
役に出会ってくれたことが嬉しくて、
その役をあんな彼に育ててくれたことが嬉しくて、
私と彼を出会わせてくれたことが嬉しかったです。



イエ〜〜〜きみを〜〜すきでよかったーーー!!

バンザイ?好きでよかった?

バンザイ?好きでよかった?




トマトほんとにあるんですね



『Indigo Tomato』| 2018年5月23日〜@東京 博品館劇場 / 大阪 サンケイホールブリーゼ